仏教
人口に占める割合: | 約0.7% |
特徴: | 発祥の地のわりには人口が少ない
チベットからの難民受け入れによるチベット仏教 |
神様: | 神様ではなく開祖としてのゴウタマ・シッタールダ(ブッダ) |
ご法度: | 食、婚姻、全般に禁忌が少ない |
発祥の地でありながら現在では衰退してしまったインドの仏教。歴史はヒンドゥー教よりもずっと古く、紀元前5世紀あたりに始まり、ヒンドゥー教の前身ともいえるバラモン教の台頭や、イスラーム教勢力の侵攻により13世紀には衰退したといわれています。
ただ仏教は「宗教ではなくWisdom of Life(人生の智慧)」とする考え方があったりして、現代インドでも、「信徒」という形ではないにしろ、しぶとく生き残っている感があります。
なんといっても、ブッダがヒンドゥー教三大神のひとつヴィシュヌ神の化身で、ヒンドゥー教の大伽藍のなかに収まっているというのが大きな理由といえるでしょう。真面目な仏教徒の皆さんは「ちょっとそれどうよ」といいたくなるかもしれませんが……。

地域でいえば、最北部のラダック地方に仏教徒が多く住んでいます。かつて王国を構えていたこの地の人々はチベット文化圏の仏教徒で、中国の支配域ではなくインド側にあったため、文化大革命で破壊されてしまった中国のチベット自治区よりも、より古く純粋なチベット文化を残しているといわれています。

一方、中国のチベット侵攻(1959年)によりインドに流れてきたいわゆるチベット難民ももちろん仏教徒。いまやインド生まれの3代目の時代になり、チベットを知らない「チベット系のインド人」世代が多くなっています。
彼らの本拠地は、現ダライ・ラマ14世が住みチベット亡命政府があるインド北部ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ。山あいの、街というよりは村です。
そのほか、デリーにはチベット人居住区のマジュヌ・カ・ティラがあったり、インド南部にいくつかの巨大コミュニティがあります。
同じチベット仏教徒だからなかよしなのかなと思いきや、ラダック系インド人とチベット系インド人には微妙な距離感があります。辺境の地でインフラ整備などが取り残されているラダック系インド人にとっては、難民という出自ゆえ進学や就職などに一定の優遇策があるチベット系インド人への不満があったりもするようです。