【最新作】Beyond Bollywood ビヨンド・ボリウッド

Beyond Bollywood観賞記

2016年11月に封切られたばかりの“ビヨンド・ボリウッド(Beyond Bollywood)”を2017年1月に鑑賞してきました。2015年から欧米各地で上演されてきたミュージカルがついに本家インドで上演、またキングダム・オブ・ドリームズでは、長年ヒットしてきた“ザングーラ ジプシーの王子 Zangoora -The Gypsy Prince-“から6年ぶりの新作ということで話題になりました。

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ストーリー

宮廷舞踊カタックの伝説の踊り子を母に持つシェイリー(Shaily)は、自身もダンサーであるが、どうしても母を超えることができない。

亡き母が出演していたドイツ・ミュンヘンの劇場ザ・グレート・インディアン・シアターは今や落ちぶれてしまった。この劇場を、インドの伝統を伝える場として再生することが母の夢だった。

支配人に閉館の期限を突きつけられたシェイリーは、出会った振付師ラガーヴ(Raghav)とともにインドへ旅立つ。

母の故郷インドでシェイリーが見たのは、インドが誇る古典舞踊の数々、伝統的な祭り、沸き立つ色彩、心を揺さぶる音楽、そして、踊ることへの情熱……。

さて、シェイリーは母を越えて、母の夢をつなぐことができるのだろうか?

みどころ

ボリウッド映画ファンにはたまらない選曲がこれでもか! と続くのもみどころですが、なんといっても本作は、インドを知らない外国人が、インドの舞踊や文化をひと通り体験できるという、「ザ・インド丸ごとダイジェスト決定版」とでもいえそうな詰め込み具合が一番の魅力です。

総勢45名のダンサーが一同に会して群舞を盛り上げ、あのインド映画さながらのダンスシーンがライブで繰り広げられます。

舞踊に関しては、冒頭から南インドの古典舞踊バラタナティアムをフィーチャーしたダンスに始まり、舞踊の神様・踊るシヴァ神の巨大な像が出てきたり宮廷舞踊カタックを一曲魅せる演出があったり、砂漠地方の民族舞踊ガルバダンディヤ、パンジャーブ地方の民族舞踊バングラなども出てきます。

また、商業都市ムンバイの商売の神様ガネーシャ祭、西インド・東インドのクリシュナ生誕祭、ベンガル地方のカーリー女神祭、春の訪れを祝うホーリー祭など、お祭り関係も盛りだくさん。

エアリアル(空中演技)では、劇中劇の俳優が、命綱なし、布だけで身体を支えての演技を披露します。みごとのひと言に尽きます。

途中でムキムキの肉体美を見せつけながら男性ダンサーが突如、1982年の洋楽ヒット”It’s Rainy Men”を踊り出したり、ホーリー祭りにつきもののバングラッシー(何かは検索してみてくださいね♪)の屋台で、「これはアムリタ(インド神話に出てくる不老の薬)だよ」と言ってみたり、「おっとその500ルピー旧札は使えないぞ、ATMに並んで新札を手に入れないと! This country needs changes(この国は変化/お釣りが必要だ)」など、2016年11月に突如廃止された高額紙幣問題を揶揄してみたりと、コメディ要素もたくさんありミュージカルシーン以外にも楽しめました。

インド的ミュージカル

キングダム・オブ・ドリームズは、ブロードウェイなどに慣れているとやや個性が光りすぎるといいましょうか、群舞があまり揃っていなかったり、群舞なのにひと際輝いてしまっている脇役ダンサーがいたりと、鉄板のインドらしさを味わえるミュージカルといえます。それが不服かというとそういうわけでもなく、ステージングなども総合的にみるとひじょうに完成度が高いと思います。バラタナティアムなどの古典舞踊は専門の訓練を受けていないと普通のダンサーはなかなか再現できないので、そのあたりのなんちゃってぶりには目をつぶります。



挿入歌のセットリスト

全編にわたってミュージカルなので、これはほんの一部ですが、挿入歌の一例をご紹介します。

冒頭から”O…Saya”(スラムドッグ$ミリオネア 2008)の挿入歌。A.R.ラフマーンのアップテンポな曲で始まります。

そしてアクシャイ・クマールとラヴィーナ・タンドンという、当時、熱愛を噂されたふたりが共演したちょっとレトロな”Tip Tip Barsa Pani”(Mohra 1994)で雨のシーン。

カトリーナ・カイフがダイナマイトボディ全開で魅せたセクシーダンスが全インドの男たちを熱く盛り上げた”Sheila ki Jawani”(Tees Maar Khan 2010)

マイ・ネーム・イズ・シーラ♪というキャッチーな歌詞とメロディはインド料理屋さんで耳にしたことがある人も多いはず(たぶん)。

熱い男女の叶わぬロミジュリ物語を背景に、これ以上ないくらいの緻密なセットと豪華な衣装で砂漠地帯グジャラート地方の民族舞踊ガルバダンスを魅せた”Nagada Sang Dhol”(Goliyon Ki Rasleela Ram-leela 2013)

ガルバは本来なら円陣を組むところ、ステージ上ではできないので、うまく流れるようなポジショニングをしていておみごと!

グジャラート地方の民族舞踊ガルバが来たなら、同じ砂漠地帯のラジャスターンの民族舞踊ダンディヤで”Dholi Taro Dhol Baaje”(Hum Dil De Chuke Sanam 1999)

日本でも「ミモラ 心のままに」というタイトルで2002年に公開された作品です。アイシュワリヤ・ライの出世作。

出演者が客席を促すと、観客が一緒に歌い出した”Rang Barse Bhige Chunar Wali”(Silsila 1981)。春を告げるお祭りホーリーを歌った曲です。往年の名優アミターブ・バッチャン、その妻ジャヤ・バッチャン、カタックの踊り手としても名高いレーカー出演の豪華な曲。このへんになるとさすがに私にも懐メロで、リアルタイムでは知りません。

インドには国民的な映画の挿入歌がたくさんありますが、この曲もそのうちのひとつ。会場の一体感に鳥肌が立ちました。

こちらもホーリー祭をテーマにした”Balam Pichikari”(Ye Jawani Hai Diwani 2013)。「若さは向こう見ず」というタイトルで日本でも公開されました。

などなど、懐メロから最新曲まで、ボリウッド映画ファンなら嬉しくなってしまう曲の数々を、ストーリーにうまく組み入れています。

エンディングは、本作のテーマソングである”Namaste India”、盛り上げに盛り上げてフィナーレです。

大興奮まちがいなしのボリウッドミュージカル。機会があったらぜひ行ってみてください!

監督・キャストなど

監督・振付: Rajeev Goswami
音楽: Salim Sulaiman
詞: Irfan Siddiqui

ラガーブ役(Raghav): Mohit Mathur
シェイリー役(Shaily): Ana Ilmi

上演時間: 20分の休憩を挟んで約3時間