貴女がマダムと呼ばれる理由

タクシー運転手、ホテルスタッフ、買い物に行ったお店で、インドでは貴女はきっと「マダム」と呼ばれることが多いでしょう。

成人女性のことをすべからく「マダム」と呼ぶフランスなどとは違い、インドにおける「マダム」は、サーブする人間が、サービスを受ける側のちょっと身分の高い女性へ敬意を込めて呼ぶいいかたです。

インドは「使う人」「使われる人」がはっきりと分かれる国です。

「マダム」と呼ばれるということは、貴女は「使う側」に認定されているということです。

安物を着ているし、お金持ちでもないし、私、全然マダムじゃないよ?

自分ではそう思っていたとしても、サービスを受ける側である貴女は「マダム」なのです。

言葉だけ丁寧に「マダム」と呼びかけてきてぼったくるような、そんな人もいますが、貴女をマダムと呼ぶ以上は、その相手は貴女に対してあからさまに乱暴な扱いはしないはずです。




ここで気をつけていただきたいのが、「ふさわしい言動」です。

自分ではまったくそんなつもりはなくても、そう呼ばれた以上は、貴女にはマダムらしい言動をとってほしい。

  • インド人を馬鹿にするような態度
  • 大声で馬鹿騒ぎをする(緊急時を除く)
  • 公共の場で飲酒・喫煙をする

絶対に避けていただきたい行為です。また、自分でできることであっても、誰かが貴女のためにサーブしているのを邪魔してはいけません

食器を下げる、荷物を運ぶ、そんなことをしている人がいたら、最後までやってもらいましょう。チップに関しては、通常の業務内のことで不要と思うなら “Thank you” と声をかけてさっと切り上げてかまいません。

たとえば、エレベーターつきのホテルで転がすだけのスーツケースを運んできたポーターにはチップを渡さないとしても、階段しかないホテルで重たい荷物を最上階まで運んだポーターには渡すなど、そのときどきで判断してください。

そんなちょっとした「ありがとう」の気持ちとして渡す額は10ルピーから100ルピー程度(2017年現在)でよいでしょう。

「少ない」と文句をいわれることもあります。が、貴女が決めた以上の額を追加する必要はありません。

“That’s all. Please go now”(それで全部です。さあ、どうぞ行ってください)

“now”の部分に少しだけ力を込めて、丁寧に、しかし毅然と、そういって立ち去りを促すか、自分が立ち去るかしてください。図々しい要求をしてくる人もいますが、はっきりと “No” と断れば済みます。よほどのしつこい手合いでないかぎり、大声を出したり騒いだりはしてはいけません。

「マダム」と呼ばれた貴女は、そこは「マダム業」を修行する場だと思ってください。丁寧な扱いを受けたければ、それにふさわしい人物でいなくてはならないという話です。